学校や親から英検を強制されている可哀そうな中学生・高校生を守るための記事です。
合格する気がしないし、落ちたら親に何を言われるか分からないし…、憂鬱な気分になっていませんか?
時には、英検が大学受験に意味がない場合もあります。
英語教育の専門家や大学の先生から疑問視する声があるくらいです。
親を説得する方法と合わせて、英検はどの程度取り組むべきか解説します。
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*英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
*このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
英検®を受けたくない中学生・高校生の気持ち
英検を受けたくない理由
英検を受けたくないのは、何となくダルいから、サボりたいからではありません。
ただ読書量が乏しく、国語力が貧弱だから、自分の気持ちを明瞭に言語化できていないのです。
だから親に3,4倍に言い返されても反論ができず、暴風雨のような説教を聞き入れた風にやり過ごそうとします。
中学生・高校生が英検を受けたくないのは、
- 英検は大学受験に意味ないから
- 部活動や勉強に忙しく気力・体力が限界だから
- 英語ができないから
- 落ちたときのストレスで病みそうだから
- 自分の勉強計画とは外れているから
など、まともそうな理由はX(旧Twitter)や知恵袋に書いてありませんでした。
「オーバーワーク気味だから、英検の勉強までするとストレスでおかしくなりそう」、と言えば、
たいていの親は、子供の健康を気遣ってくれるでしょう。
具体的な体調不良を付け加えると、さらに説得力が強化されます。
もちろん、仮病はだめですよ。
英検を受けなくても済む方法
前述のこの手の方法も、ある種の大人には効果がないと思います。
「受験料がもったいないから市販薬を飲んで、受けてきなさい」という、ヤバい毒親の場合です。
「ストレスで逃げるのは甘えだ」とか、脈絡なしに苦労話を自慢げに語り始めたりしませんか?
明らかに「子供のため」でなく、「大人のエゴ」むきだしですよね。
子供の声を聞き入れる余地がまったくないのは、一種の「教育虐待」です。
「教育虐待」は、2011年に登場して専門家で明確な定義があるわけではありません。
が、次のような傾向があるとされています。
- 子どもの忍耐限度を超えて勉強させること
- テストで親が思った点数が取れないと罵倒する
- 夜遅い時間まで勉強を強制すること
自分の身がもたない場合は、親の説教を録音して、児童相談所(電話番号189)に通報しましょう。
録音は親に言い逃れをさせないための武器になります。
親を説得する方法
とはいえ、「忍耐限度を超えた」勉強が苦しいから、英検を受けたくない中学生・高校生は少ないと思います。
ひとりで英語と戦うのは心細いし、強制されると意欲を失くしますよね?
親に反撃するのに、この2つの条件を出してみてください。
- 親も英検を受けさせる
- 合否の結果には文句を言わない
この2つの条件を聞き入れないなら、あなたが英検を受ける必要はないです。
英検は大人もたくさん受けていますし、どの級も何度でも受験できます。
忙しくて勉強するヒマがないとか、物覚えが悪いとか、あなたたち子供とおなじ条件のはずです。
子どもの頭脳のほうが柔軟だとか、耳がいいだとか、科学的な根拠のない迷信です。
大人が言い訳をして勉強しないのはダサいですよね。
もう1つが、合否の結果に文句を言わないことを約束させましょう。
落ちたら無価値で受かったらゴールというのは、頭の悪い間違った解釈です。
英検は英語力の診断テストで、人生や命を懸ける死闘なわけがありません。
合否に関係なく、試験後に必ず苦手分野を復習するためのテストです。
大学入試に英検を利用する場合も、大学側は英語をまじめに勉強しているかを知りたいだけです。
(英検利用で大学入試を無双できると勘違いしないでください。)
勉強法や参考書も充実しているから、特別な才能がなくてもカエルの子はカエルでも、努力次第で合格できます。
(級と実力がかけ離れている場合は、実力にいちばん近い級から始めるべきです。)
大学受験に英検®は意味がない
英検信仰が始まった原因
2017年7月、文科省が4技能だの、外部資格試験利用だの、言い出しました。
中学生・高校生には、はた迷惑な話だし、英語教師も大学側もてんてこ舞いです。
「中高6年間も英語を勉強したのに、なんで日本人は英語がしゃべれないんだ?」
この伝統的なトラウマが、改革(改悪?)に次ぐ改革の原動力になっている節があります。
中高の英語が会話重視という建前が登場したのは、1989年の学習指導要領の改定からです。
それ以前に、1974年「平泉・渡部論争」から文法訳読ばかりは止めて、英会話をやろうぜ的な機運が起こり、
1980年代、政府の偉い人たち(中曽根内閣の臨時教育審議会)も、中学・高校の授業は会話重視にしようと言い始めました。
そんなわけで平成時代は、学校や大学試験で英会話が少しずつ取り入れられてきました。
しかし残念ながら、中高生の英語力は30年間で上がるどころか、英文が読めなくなってきました。
2006年にセンター試験のリスニングが始まり、2011年から小学校の英語授業が始まったのに、です。
「なんで日本人は英語ができなんだ」と、偉い人たちが焦りだしました。
(この先、20年後も30年後も言っていると思います。)
2012年から13年あたりの、文科省が選んだ有識者会議で、
もっとガッツリ英会話をやらなきゃダメだ、大学入試にスピーキングを導入しよう、と言い始めました。
この会議には、日本で行われている英語資格検定を代表する人たちも集まっています。
こうして、教師は教えられるのか、子供たちは激ムズ授業についていけるのか、コミュ障陰キャは面接試験に耐えられるのか、はともかく、
2020年代から4技能や外部試験利用などが始まりました。
大学受験のアウトソーシング化(民営化)です。
お上からの急すぎる改革に、地方の教育委員会も逆らえず、英検合格者を増やさなきゃと熱を上げています。
いやむしろ、私立中高一貫校ほど実績をどん欲に欲しがっているので、生徒個人の学習意欲そっちのけで、
英検受験を勧め(強制?)ています。
英検は大学入試の代わりになるのか?
文科省の大号令を受けて、英検など外部資格試験を入試に利用できる大学が約480に拡大しています。
慶應義塾大学も法学部FIT入試をはじめ、2025年から英検利用を決定しました。
(国際基督教大学のように英検、TEAP以外の英語試験(IELTS, TOEFL iBT, GTECなど)が利用できる大学はまれです。)
国公立大学は186校のうち、28校にとどまっています。
(私大より利用条件は渋いです。)
そのわけは、英検利用に積極的な大学と慎重派の大学に分かれているからです。
慎重派の疑問点は、次のものがあります。
- 民間検定試験は目的が違う(日本の英語教育を念頭に置かず、学習指導要領に依拠していない)
- 検定料の負担がかかる
- 高校英語教育は検定試験が目的とする受験勉強になる
- 「話すこと」「やり取り」を誰が審査し測定するのか
- 「コミュニケーション」は数値で測定できない
鳥飼玖美子『英語教育の危機』筑摩新書、2018年
大学入試は年に1度きりの試験で、合格ボーダーラインが1~10点単位と厳しいものです。
人生を左右する公共性の高いものだから、大学の先生方は問題作成や試験運営で大袈裟なぼど気配りします。
ところが、英検はじめとする英語検定試験は、英語診断テストです。
試験慣れしていれば、実際の英語力がひどくても検定試験に合格てきてしまいます。
例えば、英検3級を持っているが、実際には三単現のsも分からない高校生もいます。
広告の甘い言葉に毒されて、はじめから地味で面倒な基礎学習を嫌がったのでしょう。
中学英語をやり直せと言っても、彼女の心にはもう届きませんでした。
どの大学もアドミッション・ポリシーで、高校生のうちに身に着けて欲しい事柄が書かれています。
たまたま英語の資格試験がよかっただけで、大学の英語はサッパリな学生を大学が歓迎するでしょうか。
英検と一般試験どっちを優先すべきか?
これは一般試験を優先するべきだと明らかです。
普通の大学入試対策だけでも、かなりの時間と労力がかかります。
高校の授業だけでは、試験までの準備に間に合わないケースもあるほどです。
そんなタイミングで、英検受験をするだけの体力・時間・ゆとりがあるでしょうか?
英検等利用するなら、高2の1年間で英検2級に高得点合格できた場合だけです。
準1級以上は、中学校までに2級に合格した超絶エリート以外はお勧めしません。
共通テストで大爆死して、日東駒専にかすりもしない羽目に陥る危険があるからです。
英検2級はまだ一般試験の対策とかぶっている内容が多いです。
- 単語・熟語・文法は、共通テストより英検2級がやさしめ
- 長文やリスニングも、共通テストより素直でわかりやすい
- 英作文は、国公立2次試験の自由英作文より取り組みやすい
英語の偏差値50前後の高校生でも、狙えそうですよね。
理系は、数Ⅲ・物理・化学などハードな科目に時間を費やされてしまうので、
各教科の基礎固めは、高2のうちに終わらせるのがおすすめです。
文系も経済学部や看護などは数学が課されることがあるので、
英検利用する場合は、英語以外の科目の得点が合否に影響します。
受験する大学は高1高2で決めて、受験科目を絞っておくようにしましょう。
中央・立教・法政、東京海洋など、英検が出願条件の大学はチェック!
高3でオープンキャンパスに行くのは呑気すぎます。
部活動など高校生らしいイベントで青春を満喫したいでしょうし。
この記事の後半で参考した本がこちらです。
この記事ではビビッて書けなかったヤバい話も書いてあります。