怠惰な生き物こと、ニャマ先生も「教える」ことを仕事にしています。
ある生徒の指導に困っていたので、お金をもらっている以上、教室長に読まs…ぜひ読ませてください、と手に取りました。
それが、「いちばんやさしい教える技術」でした。
アマゾンのレビューは概ね高評価ですが、本書のよい点悪い点もまとめています。
だいたいの内容は教職員・塾関係者にとって常識の範囲内なので、中学生・高校生より大人向けの本です。
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「いちばんやさしい教える技術」の感想
「いちばんやさしい教える技術」のよい点
よい点は、次の3つ点
- ブログ記事のような平易な文章
- 教え方のルール10など箇条書きでまとめられている
- 相手の「心」でなく、「行動」を変えるという発想
特に、3つ目、手のかかる生徒の気持ちを変えるのは、かなり難しいです。
数学Ⅲの微分方程式よりも難しい、というか文系教科の指導だから、解いたことないのですが(笑)。
とにかく、教える側が直接コントロールする方法がないのは、相手の心や態度なのです。
塾で教えていれば、宿題をやってこない生徒は、よくいます。
何度指摘しても、当人が改心することなんて、まずありません。
もちろん、ぶん殴るのは最悪ですよ。
明確な答えはないのですが、生徒の様子を見て、自力で出来そうな課題にしぼる、ようにします。
宿題をやってきたら、宿題をやってきた事実を褒めます。
そうして宿題をやる習慣が身に着くまでは一進一退なので、教える側の非力さを実感しながら、忍耐強く指導しています。
僕はそんな風にしていますが、著者の考えは少し違うようです。
「こうなってほしい」理想の姿に近づく行動をゴールにする、のがよいとのこと。
なるほど、と思いました。
生徒の本音は、宿題はめんどくさいし勉強も嫌いなことは、変わりません。
ただ「漢字をノートに3回書く」と具体的な行動に置き換えることで、宿題をやる可能性は高まります。
本文では、「人に思いやりを持ってほしい」を「電車にお年寄りが乗ってきたら、席を譲る」という行動に変える例で説明しています。
教える側の「思いやり」の意図を、本人が理解するまでにはいくつものスモールステップが存在します。
「あいさつをする」や「ありがとう」と言うなど、です。
宿題の意図は、だれにも言われず自分に必要な課題を見つけて、勉強する習慣を身に着けることにあります。
それが出来れば、だれも成績で悩んだりしないのですが、理想の姿までの道のりは生徒によってさまざまです。
「いちばんやさしい教える技術」の悪い点
悪い点は、この2つです。
- 質問に答えず黙ってしまう生徒もいる
- 相手の中にストーリーを作る
どうしても、本書だけでは理解できませんでした。
僕が悩んでいる生徒は、2択の質問でも黙ってしまうのです。
質問をすれば、心を閉ざします。
質問は下手すれば、詰問=プレッシャーになる危険もあるのです。
ネチネチ説教するのが逆効果なのは、僕も身に覚えがあるので著者の意見に賛成します。
ただし、質問で態度が変わるほど、明るく素直な子ばかりでもないのです。
なので、ストーリーを聞き出すというのにもピント来ません。
著者は、有休を使って休んだ後輩が、一言もお礼を言わなかった例を挙げています。
その対話内容が、遠回しに休んだことを責めているようにも聞こえますよね。
後輩君の「もちろん休ませてあげるべきです」という発言が、何様だよおまえ、と言いたくなります。
チームの中で一番足を引っ張っているのに休んだ場合、後輩君の立場が危ういです。
来週には契約を打ち切られるかもしれません。
というわけで、態度スキルの教え方は、本書どおり上手くいかない最も難しいものです。
あと、本書は中学生・高校生が読書感想文で読む本じゃないですよ。
論文や実験内容を大量に引用した250ページくらいの新書なんか読んでいられない、超絶忙しい大人のために書かれたスカスカの本です。